食生活で予防しよう!胃拡張・胃捻転

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胃がガスや体液、食べ物で膨れ上がり、それにより胃がねじれてしまう急性疾患を「胃拡張捻転症候群 (gastric dilation-volvulus syndrome:GDV)」と言います。重度では血液循環が阻害されショック状態となり、数時間で死亡する可能性があります。

遺伝や年齢、ストレス、環境といった要因が複雑に作用して起こるとされていますが、未だに完全には解明されていません。
胸部の深い大型犬(グレート・デーン、セントバーナード、ワイマラナー、ジャーマン・シェパード、ドーベルマン、秋田犬など)が好発犬種として挙げられます。しかし、ダックスフンドやバセットハウンドなど小・中型犬でも見られるため、どの犬種でも注意が必要です。

ここでは胃拡張・胃捻転のリスクを減らすポイントについて、食生活の面からお伝えしていきます。

【1回当たりの食事量を多くし過ぎない】

一度に多量に食べ物を摂取すると胃の内容量が急増し、胃拡張・胃捻転を引き起こしやすくなります。1食を小分けにして食べさせるようにしましょう。

【早食いをさせない】

早食いする犬の場合、食べ物と一緒に空気も飲み込んでしまいリスクが高まります。一食分を小分けにして食べさせたり、早食い防止用の食器を使うこともおすすめです。

【運動前後の食事や水のガブ飲みをさせない】

食後の運動制限がリスクを下げるという明確な結果は示されていませんが、運動前後の食事や飲水は避けた方が安心です。但し、水分不足はリスクを高めるため、それ以外のタイミングではこまめに水分を取らせ、極端な制限は控えましょう。

【油脂が多く含まれるドライフードを避ける】

油脂が多いドライフードは、胃からの排出が遅れて胃拡張のリスクが高まるという研究結果があります。ドライフードの成分表記において、はじめの4つの中に油脂成分(ヒマワリ油、動物性脂肪など)が記載されているものは避けましょう。

【小さ過ぎる粒のドッグフードは避ける】

ドッグフードの粒や手作りの食事で使われる肉のサイズが、30mm以上よりも30mm未満のものを食べている犬のほうがリスクが高くなります。個々の食べ方や健康状態などにもよりますが、大型犬・超大型犬では小さ過ぎるドッグフードは避けましょう。

【高い位置にフードボウルを設置しない】

フードボウルを高い位置に設置すると、リスクが51.9%増加するという研究結果があります。これは単一の研究ではありますが、首の痛みなどの健康上の理由がない限り、あえてフードボウルの位置を高くする必要はないかもしれません。

大切な家族だからこそ日頃から予防を心がけて、様子がおかしいと感じたらすぐに動物病院で診てもらいましょう。

<参考資料>
・Non-dietary risk factors for gastric dilatation-volvulus in large and giant breed dogs
(Lawrence T. Glickman, 2000)
・The effect of ingredients in dry dog foods on the risk of gastric dilatation-volvulus in dogs (M Raghavan, 2006)
・Diet-Related Risk Factors for Gastric Dilatation-Volvulus in Dogs of High-Risk Breeds (M Raghavan, 2002)
・Small size of food particles and age as risk factors for gastric dilatation volvulus in great danes (LFH Theyse, 1998)

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