犬の食物アレルギー ~症状編~

FOODS

犬のアレルギーはノミや食物、アトピーなど様々ですが、一般的に生後6ヶ月〜6歳で発症が始まると言われ、その中でも2歳前後での発症が多くを占めています。

ここでは、アレルギー全体の約10~30%を占める「食物アレルギー」についてお話ししていきます。

犬が何かを食べた後に体を痒がる、おなかを壊すといった症状がみられることを「食物有害反応」と言い、その中でも免疫性の反応が「食物アレルギー」です。
食物アレルギーは環境要因と遺伝要因の相互作用により発症すると言われ、アレルゲンとなる食物中の単一または複数のタンパク質(食物抗原)に対する過剰な免疫反応によって、皮膚症状や消化器症状を引き起こします。また、食物アレルギーを持つ犬の40%以上が生後6~12ヶ月齢といった比較的幼齢期に発症する傾向にあります。

症状

痒みや脱毛、紅斑(こうはん)、象皮様の皮膚の肥厚などの皮膚症状がほとんどですが、下痢や嘔吐といった消化器症状がみられることもあります。

初期段階:顔や耳に皮膚症状がみられ、食後に顔をしきりに掻く
慢性化:徐々に指間や下腹部、脇、背中、腰、尻尾、大腿へと広がり、その部分を掻いたり噛んだり(舐めたり)する

このような症状は食後30分に発症する「即時型」と、食後1~2日を経過してから発症する「遅延型」に分けられ、通常「即時型」が多くみられます。

好発犬種

ジャーマン・シェパード、ラブラドール・レトリーバー、ボクサー、ウエストハイランド・ホワイトテリア、ミニチュア・シュナウザー、シーズー、フレンチ・ブルドッグなど
(※但し犬種による素因を否定する意見もあります。)

食物アレルギーは、数年間特定の食物を食べ続け徐々に症状が蓄積していったり、特定のタンパク源もしくは果物を摂取後、突然生死にかかわるようなアナフィラキシーショックを起こす場合もあります。さらに、皮膚症状や消化器症状として始まったアレルギーが、気道の過敏反応および閉塞といった呼吸器症状に進展することも多くあります。初期段階だからと楽観視せず、気になる症状がみられたら早めに動物病院で相談しましょう。

次回は検査や治療についてお話ししていきます。

<参考資料>
・犬猫の食物アレルギー (小方 宗次, 2000)
・犬の食物アレルギーにおける免疫学的解析および免疫療法に関する研究 (島倉 秀勝, 2016)
・TheVet Allergist Report Vol.7 食物アレルギーに対する『血清IgE検査』
・日本獣医師会
・公益社団法人 埼玉獣医師会

ピックアップ記事