水分補給に犬用スポーツドリンクは必要?

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最近は熱中症対策として犬用のスポーツドリンクが売られています。犬にも水分補給は不可欠ですが、塩分の含まれた犬用の飲み物は必要なのでしょうか?

塩分(ナトリウム)は、体内の水分バランスの制御や細胞外液の浸透圧の調整、神経情報伝達、心臓の収縮など様々な働きに関わっています。健康な成犬の塩分要求量は、体重1kg当たり1日0.242gと言われ、これは健康な成人で推奨されている要求量と大差ありません。

人は全身に「エクリン汗腺」が発達し、暑くなると全身に汗をかきます。その際水分と共に塩分・ミネラルも排出されるため、スポーツドリンクや経口補水液など、水分と塩分を一緒に補給できる飲み物の摂取が推奨されています。

しかし、犬はエクリン汗腺が足裏や鼻の頭付近など身体の一部にしか存在しません。代わりに、脂状の汗を分泌する「アポクリン汗腺」が全身に発達しています。これはフェロモン的要素が強く、体温調整は主に「パンティング(口を開けてハアハア呼吸をする)」によって体内の熱を気化熱として放出することで行います。

そのため普段の食事で塩分は足りている場合が多く、敢えて専用の飲み物で塩分を摂取する必要はありません。水分補給は水で十分です。また、冷やした水を飲む人は多くいますが、犬の場合は冷やすことで下痢などを引き起こすこともあるので、常温で飲ませましょう。

日頃なかなか水を飲まない犬は、下記のような工夫で積極的に水分を摂取するようになるかもしれません。

・少量の犬専用のスポーツドリンクなどを水と混ぜて味をつける
・普段のドッグフードに水やぬるま湯を加える
・ドライフードからウェットフードにする
・氷をあげる(※あげ過ぎに注意)

犬用のスポーツドリンクは塩分補給を目的とするのではなく、水分補給の工夫の一つとして活用することがおすすめです。但し、大量に与えると塩分や糖分の取り過ぎになる可能性もあります。特に心疾患や腎不全などを患っている犬は、症状が悪化してしまうことがあるので注意が必要です。

ジメジメした梅雨や暑い夏も、上手な水分補給で元気に乗り切りましょう!

<参考資料>
ペットの健康と食塩
・Salt in dog foods (Anton C. Beynen, 2017)

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