一緒でいいの?小型犬と大型犬の食事

犬は哺乳類の中で最も体の大きさが多様な種(species)とされています。
例えば、小さなチワワと大きなアイリッシュ・ウルフハウンドは、食事の際に気をつけるべきことは同じで良いのでしょうか?
小型犬
小型犬は口・食道・胃など全てが小さいため、一度に食べられる食事の量は限られています。しかし、1日当たりの必要カロリーは中型犬や大型犬に比べて多く、特に子犬の時期は空腹による低血糖症を引き起こしやすくなります。1日の食事の回数を増やして少量ずつあげましょう。
また、顎が小さく唾液の量も少ないため、歯周病など口内の病気になると顎の骨にもすぐに悪影響が及んでしまいます。歯垢を削り落とす効果のある、できるだけ噛み砕くように考えられた粒の形や大きさのフードがおすすめです。
但し、噛まずに丸ごと飲み込んでしまう食べ方の犬は、窒息のリスクを下げるために粒の小さいフードを選びましょう。
大型犬
大型犬は成長速度が急速に進むため、子犬の時期に食事の栄養バランスが崩れると、股関節形勢不全や拡張型心筋症などのリスクが高まります。栄養バランスはもちろんですが、グレインフリー(穀物不使用)のフードは、近年拡張型心筋症との因果関係が指摘されているため、個々の体質を考慮し慎重にフードを選ぶ必要があります。
さらに、小型犬は体重の約7%を消化器官が占めるのに対して、大型犬は約3%と低く、消化器官が弱い傾向にあります。噛まずに飲み込んでも消化しやすいフードや、噛むことが促されるようなフードの形や大きさを選ぶこともおすすめです。
また、大型犬に多くみられる胃拡張捻転症を予防するために、早食いや油脂の多いフード、粒の小さ過ぎるフードは避けましょう。
運動量の多い犬
運動によって体内で活性酵素が過剰に発生すると、健康な細胞を傷つけ老化を早めたり、免疫力の低下を招き病気の原因となることがあります。活性酵素は本来身体の持つ抗酸化能により無害化されますが、日頃の運動量が多い犬の場合、ビタミンEや緑黄色野菜や果物に含まれるカロテノイド(βカロテン、リコピンなど)といった抗酸化物質を食事から取り入れることもおすすめです。
犬の年齢・体質・運動量・不妊手術の有無などでも気をつけるべきことは変わりますが、体の大きさを考慮しながらうちの子の健康な体づくりを目指しましょう!
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<参考資料>
・Role of Dietary Antioxidants to Protect against DNA Damage in Adult Dogs (Paul R. Heaton, 2002)
・Nutritional Risks to Large-Breed Dogs: From Weaning to the Geriatric Years (Susan D Lauren, 2006)
・FDA Investigation into Potential Link between Certain Diets and Canine Dilated Cardiomyopathy (2019)