デンタルケアと日頃の食事

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犬の歯周病を防ぐには、毎日の歯磨きと必要に応じた専門的な歯のクリーニングが最善の方法ですが「食事」も重要な役割を果たします。
今回は犬の食事とデンタルケアについての研究を、いくつかご紹介いたします。

1930年代、40年代、60年代の研究によると、ドライフードを食べた犬はウェットフードを食べた犬よりも口腔の健康状態が良好とされていました。

しかし、1996年に北米の1,350頭の犬を対象に行われた大規模な調査では、ドライフードのみを食べる犬とドライフード以外のものも食べる犬との間に、歯石のレベルや歯肉炎、歯槽骨の喪失における明確な差はほとんどないとされています。また、皮や骨、ビスケット、噛むオモチャを与えられた犬は、それらを与えらえる機会が少ないまたは全くない犬に比べて、歯石の蓄積や歯肉炎、歯槽骨の喪失が少なくなるという結果も報告されています。

2007年には、12〜24ヶ月齢の40匹のメスのビーグル犬を対象に、ドライフードのサイズの違いによる歯石の蓄積の影響を調べた研究が発表されました。この研究では、1粒当たり直径10mmと15mmのフードが使われました。その結果、後者は前者よりも、歯石の蓄積が42%減少することがわかりました。これはフードのサイズが大きいことで噛む回数が増え、唾液の分泌量が増えたことが要因とされています。さらに、これらの歯石減少の効果は犬の歯の位置によって程度も異なり、切歯や犬歯と比較して、尾側に位置する後臼歯で最も顕著な効果が観察されました。

また、2013年には、通常のドライフードにデンタルガム(グリニーズ)を毎日1つ与えたグループ(成犬30頭)と、ドライフードのみを与えたグループ(成犬30頭)において、口腔内の状態を比較した研究も行われました。この研究では、前者は後者に比べて、歯垢と歯石の蓄積、および口腔の悪臭が統計的に有意に減少したことが示されています。

もちろん毎日の歯磨きや動物病院での定期的な検診・クリーニングが大切なことに変わりはありませんが、歯磨きが苦手な犬や毎日歯磨きをする時間のない飼い主さんも多くいます。
それぞれのお家に合ったデンタルケアを行っていきましょう。

<参考資料>
・Correlation of diet, other chewing activities and periodontal disease in North American client-owned dogs (C E Harvey, 1996)
・Effect of pellet food size and polyphosphates in preventing calculus accumulation in dogs (P Hennet, 2007)
・Oral health benefits of a daily dental chew in dogs (Bradley W Quest, 2013)

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