犬の食物アレルギー 〜検査・治療編〜

前回は犬の食物アレルギーの症状についてお話しました。
今回は一般的な検査や治療についてお話していきます。
検査
食物アレルギーかどうかを判断するためには、下記のような検査法があります。
【除去食試験】
アレルギー反応は今まで食べたことのある物に対してしか発現しないため、これまでに与えたことのない食材で、約3〜10週間かけて症状が改善するかどうかを確かめます。症状の改善が認められた場合、元の食事に戻して症状が再発するかどうかを確かめ、再発した場合に食物アレルギーの診断が確定します。
【血液検査】
原因となるアレルゲンを特定するため、IgEという抗体を測定する検査とリンパ球を測定する検査の大きく2つに分けられます。犬の場合IgEによって引き起こされるアレルギーが約30%、リンパ球によって引き起こされるアレルギーが約70%と言われているため、場合によっては両方の検査を必要とします。
治療
食物アレルギーは原因となるアレルゲンを特定し、それを含まない食事を与えることによってのみ改善が期待できます。
除去食試験で用いたフードで症状の改善がみられた場合、そのフードで治療することが多いです。手作りの食事で治療することも可能ですが、適切な栄養バランスの維持が難しいため、専用に調合された低アレルゲン性の療法食(処方食)を与える場合がほとんどです。
※療法食は飼い主自身で判断・選択せず、必ず獣医師の指示に従ってください。
未だに食物アレルギーに関する精度の高い診断および確実性の高い治療法が確立していないのが現状ですが、もしもうちの子に痒みや脱毛などの症状がみられる場合は、重症化する前に動物病院に相談しましょう。
<参考資料>
・犬猫の食物アレルギー (小方 宗次, 2000)
・犬の食物アレルギーにおける免疫学的解析および免疫療法に関する研究 (島倉 秀勝, 2016)
・TheVet Allergist Report Vol.7 食物アレルギーに対する『血清IgE検査』
・日本獣医師会
・公益社団法人 埼玉獣医師会