骨折が子犬に多いのはなぜ? ~治療・予防編~

前回は、骨折の原因と症状についてお話しました。今回は、骨折の治療法と予防策についてお伝えします。
骨折の治療法は骨折の部位や状態、犬の年齢や体力、持病の有無、ライフスタイルなどによって選択され、費用は治療内容や病院によって大きく異なります。
治療法
・プレート固定法
手術により金属製のピンやプレート、ワイヤーなどのインプラントで固定する方法。完治後、インプラントを除去する再手術が必要。
・創外固定法
ネジ付きの金属製ピンで、皮膚の外から骨を固定する方法。
・髄内ピン法
中が空洞になっている骨髄部に金属ピンを通すことによって、骨折部を支える方法。完治後、ピンを除去する必要がある。
・ギプス固定
手術困難な場所や手術までの間などに使用することが多い治療法だが、症状が軽い場合などはギプス固定だけで治療することもある。
治療期間は骨折の程度や治療法、犬の年齢などによって異なり、完治には1~4ヵ月程度かかりますが、半年以上かかる場合もあります。
完治までには、退院後の通院やリハビリ、再手術など長い時間と労力が必要です。
【犬と飼い主さんの精神的ダメージ】
治療期間中は激しい痛みや、ギプスとエリザベスカラーをしての生活、動きの制限など犬にとって大きなストレスがかかります。飼い主さんにとっても、痛がって元気のない犬の姿を目の当たりにすることで精神的に大きなダメージを受け、満足に遊ばせてあげられず、我慢や不自由な思いをさせていることに、もっと注意していれば骨折を防げたかもしれないと後悔する方も多いです。
犬も飼い主さんも辛い思いをしないよう、骨折を予防することが大切です。
予防策
【生活環境を整える】
・段差を作らない
ソファーやベッドに犬用スロープやステップを設置したり、椅子に登れないようにテーブルの内側に入れて段差からの飛び降りを防ぐ。
・危険な場所にゲートを設置
階段を駆け下りたりしないように場所を制限する。
・滑らない工夫
フローリングや大理石などの床には、滑り止めマットやクッション性のあるものを敷く。
足裏の毛を定期的にカットして肉球が隠れないようにする。
【落下・交通事故を防ぐ】
・しっかり抱っこする
興奮したり驚いたときに飼い主さんの腕から飛び降りようとするため、カラー(首輪)に手をかけたりリードを付けて抱っこをし、降ろすときは低い位置で降ろす。また、事故が起きやすい小さな子供と犬だけの状況にしない。
・お散歩時リードを手から離さない
リードは短めにしっかり持ち、カラーは外れたり頭から抜けないように、強度やサイズに気を付ける。
【お家でできる接し方・練習】
・子犬から目を離さない
サークルやクレートから出ているときは目を離さないように注意し、ソファやベッドに勝手に登ったり降りたりしないように気を付ける。
・興奮したときに落ち着かせる
飛びつき防止のために「おすわり」や「まて」を教える。
・抱っこの練習をする
大人しく抱っこされているときは良くほめて、ごほうびをあげる。降りようとして暴れても絶対に離さず、大人しくなったときに降ろす。床に座って練習すると安全。
栄養バランスの取れた食事と適度な運動、骨を丈夫にするビタミンDが生成される日光浴を心がけ、しっかりと予防することで子犬の安全を守りましょう。
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