耳のトラブルで多い「外耳炎」

HEALTH

耳のトラブルで最も多いのが、外耳道の皮膚に炎症が起こる「外耳炎」です。
犬の外耳道(外界から鼓膜までの耳道)はL字型をしていることから、湿気がこもりやすく耳垢が溜まりやすい構造となっており、細菌や真菌(カビ)が繁殖し皮膚の炎症を起こしやすくなります。
外耳炎は慢性化したり再発を繰り返す場合が多く、治療が遅れると中耳炎や内耳炎に進行してしまい、悪化すると手術が必要になるケースもあります。症状が見られたらすぐに動物病院へ行きましょう。

症状

耳の内側が赤い・腫れる / 耳垢が多い / 膿が出る / 臭いがきつい / しきりに頭を振る・傾ける / 痒がる(後ろ足で掻く、床にこすりつけるなど) / 触ると嫌がる・痛がる / など

原因

・アレルギー疾患(犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、接触性アレルギーなど)
犬アトピー性皮膚炎の83%、食物アレルギーの80%は、外耳炎を併発しているという報告がある。犬アトピー性皮膚炎の35%は外耳炎の症状のみというデータもあり、外耳炎の多くがアレルギー体質に関連している。

・耳疥癬(みみかいせん)
ミミヒゼンダニが寄生することで発生し、耳の穴の皮膚の表面に穴を掘ってその中で生活するため、とても強いかゆみを伴う。特に生後2~3ヵ月の子犬に多く発症する。

・異物(植物の種や実、虫など)
お散歩で草むらに入り、植物の種や虫が耳に入り込むことによって引き起こされる。また、体表の被毛が耳の穴に入って鼓膜を刺激したり、刺さって起こるケースも多い。

・病気、できもの
脂漏症、内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)、自己免疫性疾患などの病気により発症。
腫瘍、ポリープなどにより耳道が狭くなったり、閉塞して発症する。

・細菌や真菌の増殖
マラセチアという真菌が耳で繁殖して発症する。

・誤ったケア
綿棒を使うことで汚れを奥に押し込んでしまったり、皮膚を傷つけてしまう可能性がある。また、シャンプー液の流入や、あまり頻繁に耳掃除を行うと炎症を起こしやすくなる。

・高温多湿な環境
耳の中の湿気がこもり、細菌などの微生物の繁殖力が上がる。

なりやすい犬は要注意!!

アレルギー体質 / 垂れ耳 / 耳の中の毛が多く密集している / 先天的に耳道が狭い / 外耳道の分泌物を出す腺が生まれつき多い

アメリカンコッカースパニエル、ラブラドールレトリーバー、ゴールデンレトリーバー、ビーグル、バセットハウンド、ダックスフンド、フレンチブルドッグ、パグ、シェットランドシープドック、シーズー、ミニチュアシュナウザー、トイプードルなど

日常的に正しい方法でお手入れを行い、耳の中を清潔に保つことが予防につながります。
日頃から耳垢の量や色・耳の臭いのチェックなどこまめな耳の観察をして、小さな変化にも早く気付けるように心掛けたいですね。また、耳を触られることを嫌がらないように、子犬の頃から触られることに慣れさせておくこともポイントです。

<関連記事>
皮膚トラブルの原因が知りたい ~かゆみ編~
グルーミングが良い子にできる秘訣とは!?

<参考資料>
食物アレルギーを考える_食物アレルギーと外耳炎(松鵜 彩, ペット栄養学会誌, 2010)
犬の外耳炎とアレルギー性疾患(松鵜 彩, ペット栄養学会誌, 2011)

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