避妊・去勢手術のメリット・デメリット

HEALTH
子犬が成長すると「不妊手術は必要なのか?」「いつ頃手術をしたらいいのか?」と迷う方が多いのではないでしょうか。手術をするか、しないかを決めるのは飼い主さんですので、避妊・去勢手術のメリット・デメリットをきちんと知っておきましょう!
避妊手術のメリット
- 望まない妊娠を避けられる
- 生殖器系疾患の予防(子宮蓄膿症、卵巣嚢腫、乳腺腫瘍など)
乳腺腫瘍の場合、初回発情前に手術をすることで99.95%予防でき、発情の回数が多いほど発生率が上がります。
<手術をする時期と発生率>
初回発情前:0.05%
初回発情から2回目の間:8%
2回目発情以降:26% - 発情時の問題行動の予防(吠える、咬むなど)
巣作りなどの行動をし、母性本能から攻撃的になる子もいます。 - ストレスや体調の変化の軽減(精神的に落ち着かない、頻尿、食欲低下など)
- 偽妊娠(想像妊娠)を避けられる
乳汁の分泌から乳腺炎になることもあります。
※小型犬は5~7ヶ月くらいの周期で年に2回、大型犬は8~12ヶ月くらいの周期で年に1回以上発情します。
去勢手術のメリット
- 望まない繁殖を避けられる
- 生殖器系疾患の予防(精巣腫瘍、前立腺肥大、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアなど)
- 問題行動の予防や減少(マーキング、マウンティング、他のオス犬とのけんかなど)
手術時の年齢や個体差などが関係するため、必ず効果があるわけではありません。 - 性ホルモン誘発性のストレスの軽減
メスの発情を知ったオスは遠吠えを繰り返したり、脱走してメスの元に行こうとする子もいます。
※生殖能力が完成するのは生後6~12ヶ月くらいで、オスに発情期はありません。
避妊・去勢手術のデメリット
- 手術や麻酔のリスク
- 子供が作れなくなる
- 基礎代謝が減少することから太りやすくなる
手術の時期
なるべく早期に行う方が手術の効果が高く、回復も早いです。
犬種やサイズにより個体差はありますが、生後6~8ヶ月(大型犬は成長が遅いため10~12ヶ月)を目安に獣医師に相談しましょう。
ただし、停留睾丸(精巣が陰嚢内に降りてこない)の場合、開腹手術が必要になったり、降りるまで待ってから行うこともあります。
不妊手術によって病気の予防やストレスの減少となり、わが子が健康で長生きすることにも繋がります。また、異性を気にせず集中しやすくなるため、トレーニングの面でも有効ですよ。
<参考資料>
Sorenmo KU, Shofer FS, Goldschmidt MH. Effect of spaying and timing of spaying on survival of dogs with mammary carcinoma. J Vet Intern Med. 2000;14(3):266‐270. doi:10.1892/0891-6640(2000)014<0266:eosato>2.3.co;2