皮膚トラブルの原因が知りたい ~脱毛編~

HEALTH

犬の毛にはとても重要な役割があります。
夏になると毛が抜けて冬になると毛が生える換毛期による「体温調節」や、犬の表皮の厚さは人間の5分の1程度の0.1ミリ以下と薄くデリケートなため、紫外線や病原体などの「外部刺激から身体を保護する」役割です。

換毛期で毛が抜けている場合は心配ありませんが、下記のような症状が見られる場合は病気が原因の可能性があるため動物病院を受診しましょう。

症状

毛が束で抜ける
一部分がごっそりと抜けている
左右対称や円形に脱毛している
体全体の被毛が薄くなる
かゆみや炎症などを伴っている
赤い発疹、フケ、湿疹、ニキビのような小さな膿がある
皮膚が黒ずんでいる
 

【原因】

遺伝性 炎症、かゆみ、フケなどを伴わない

・淡色被毛脱毛症
ブルー、シルバー、グレー、フォーンなど淡い毛色の犬種に発生する。生後4ヶ月〜3歳で発症し、主に胴の部分(体幹部)が脱毛する。
好発犬種:ヨークシャーテリア、ミニチュアピンシャー、チワワ、イタリアングレーハウンドなど

・黒色被毛脱毛症
毛のメラニン色素の形成や沈着に異常が起こり、黒色の被毛のみ脱毛する。生後1ヶ月頃から徐々に脱毛が始まり、数年間かけて黒色の毛が完全に脱毛する。
好発犬種:ドーベルマン、ビーグル、アメリカンコッカースパニエル、ポインター、バセットハウンドなど

・パターン脱毛症
正確なメカニズムは不明。生後6ヶ月頃〜3歳で発症し、耳の周辺などから脱毛する。徐々に進行し、皮膚が黒ずんでくる場合もある。
好発犬種:ヨークシャーテリア、ダックスフンド、チワワ、ミニチュアピンシャー、ボストンテリアなど
 

ホルモン異常(内分泌性疾患) かゆみを伴わず短期間で大量に抜け落ちる事が多い

・甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの生成や分泌が少なくなることで起きる病気。左右対称に脱毛する。

・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
下垂体や副腎の腫瘍が原因となり、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されることで起きる病気。左右対称に脱毛する。

・性ホルモン失調
オスでは睾丸の腫瘍、メスでは卵巣腫瘍などにより、エストロゲンの分泌が過剰になることで脱毛する。

寄生虫
・毛包虫(ニキビダニ・アカラス)症
毛穴に寄生するダニの一種で、免疫力低下などにより異常増殖することで発症。目や口の周り、四肢などに脱毛が見られ、悪化するとかゆみやフケ、皮膚のただれが現れる。
 

真菌(カビ)や細菌
・皮膚糸状菌症
カビの胞子が毛に付着し、弱くなった毛がちぎれて抜け落ちる。皮膚の赤みやフケ、かさぶたを伴う円形脱毛が現れる。人畜共通感染症のひとつ。
 

その他
・脂漏症
皮膚の角質が過剰にはがれ落ちる症状。全身のさまざまな部分に現れ、強いかゆみを伴う。

脂性脂漏症:皮膚が脂っぽくベタつき、体臭が強くなりフケが落ちる
好発犬種:シーズー、アメリカンコッカースパニエル、ウエストハイランドホワイトテリア、ラブラドールレトリーバー、秋田犬など

乾性脂漏症:皮膚がかさつき、毛艶が悪くなる
好発犬種:ジャーマンシェパード、アイリッシュセター、ドーベルマン、ダックスフンドなど

・脱毛症X(アロペシアX)
2〜5歳頃に発症する原因不明の脱毛症。頭や四肢、尻尾などは毛が残り、体幹部は左右対称に脱毛してかゆみを伴わない。皮膚は色素沈着して黒ずみ、薄く弾力がなくパサパサとした状態になる。
好発犬種:圧倒的にポメラニアン、サモエド、スピッツなど

・側腹部脱毛症
毛が成長し抜け落ちるまでの毛周期の異常により、側腹部に脱毛がみられる。
 

心因性
・ストレス性脱毛症
ストレスや不安から毛細血管が収縮し、血行が悪くなることで毛が抜ける。人間の円形脱毛症と同じように局部的に脱毛しキレイな肌がみられ、かゆみが無いのが特徴。
 

アレルギー性、感染症
かゆみを伴う皮膚疾患により、身体を掻いたり舐めたり噛んだりすることで脱毛を引き起こす。
詳しくは【皮膚トラブルの原因が知りたい ~かゆみ編~】を参照。

日頃から皮膚の状態をチェックして日常のお手入れで衛生的に保ち、食事や生活環境を管理して健康的な生活を整えてあげることが大切です。

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