カーミングシグナルとその時の心情

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前回はノルウェーのドッグトレーナー、トゥーリッド・ルーガス氏によって提唱されたカーミングシグナルの種類とイタリアのピサ大学獣医科学科のチームによる予備的研究の話をしました。
今回はルーガス氏が提唱した27種類のカーミングシグナルの中からわかりやすい6つをご紹介します。

1. 相手の犬にゆっくり近づく/カーブを描きながら近づく

緊張や恐怖心を感じているので、近づくまでに時間稼ぎをして相手の出方を見ているときに出るサイン。カーブを描きながら近づく場合は自分の脇腹を見せることになるので、弱点を見せて相手に許しを請うサインになる。

2. あくびをする

あくびは緊張感の表れであり、対犬に「こちらには攻撃するつもりはない」という意思を伝えるものである。また犬にとって嫌なこと・場面で出るあくびは不快を表すサインとなる。

3. 前脚を上げる

この行為は「パピーリフト」と呼ばれ、相手に威圧を感じるときなど軽度のストレス状態にあるときに見られ、自分が親和的であることを示すサイン。

4. 口と鼻の周りを舐める

緊張・不安を感じたときに自分を落ち着かせようとするときに出すサイン。または、相手の犬が緊張している場合「敵意はない」ことを伝えるサインにもなる。

5. 2頭の犬の間に割って入る

遊んでいる2頭の動きが激しくなってきたときに見られる。他の1頭が間に割って入ることで興奮している2頭を鎮めようとするサイン。

6. 地面の臭いをかぐ

相手の犬が警戒して自分に注目しているときや興奮しているときなど、相手をリラックスさせるためや「君の領域を侵害するつもりはないよ」と敵意を起こさせないよう、なだめるサイン。

興奮状態のときや恐怖心がピークに達しているときは、犬にかなりのストレスがかかっているので、カーミングシグナルを忘れてしまい見られないこともあります。
また、早くから親・兄弟犬と離されたり、社会化期に他の犬とほとんど触れ合う機会がなかった犬は、カーミングシグナルを学ぶことができないまま成長し、表現方法も使い方も分からず、犬同士の付き合い方がうまくできない傾向にあります。
子犬のときの犬同士の交流は”犬の社会性”を育むのに大切なことなのです。

カーミングシグナルは人に対して見せることもあるので、犬をよく観察してカーミングシグナルに気づくことで、心情をより理解することができますよ。

<参考資料>
深読み・先読みテクニック(ヴィべケ・S・リーセ, 2011)

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