予防が大切! フィラリア・ノミ・マダニがもたらす病気

犬の健康管理のために寄生虫について理解し、それによってもたらされる病気について知っておきましょう。
フィラリア
犬の心臓や肺動脈に寄生する寄生虫。
フィラリアの幼虫を吸血した蚊が媒体となり犬の体内に侵入する。細長いそうめん状に成長すると肺や心臓の血管に寄生してフィラリア症を発症し、放置すると死に至ることもある恐ろしい病気。
症状:咳が出る、呼吸が苦しそう、腹水がたまりお腹が膨らむ、血尿など
治療法は、症状や寄生している成虫の数などにより外科的療法、内科的療法と選択肢が変わるがリスクの高い治療となる。
ただし、フィラリア症は予防すれば100%防げる病気。
ノミ
驚異的なジャンプ力(体長1~9mmの150倍)で動物の体表に飛びつき吸血する寄生虫。
激しいかゆみをもたらし、ノミアレルギー性皮膚炎を引き起こしたり、消化管内寄生虫(サナダムシなど)の媒体にもなる。特に子犬は、大量のノミの寄生を受けると貧血を起こす危険性がある。
ノミを発見したら、指や爪で潰すのはNG。体内の卵が大量に飛び散ってしまったり、万が一口に入ると人がサナダムシに感染する可能性もあるため、すぐに動物病院で駆除してもらう。
ノミが繁殖する気温は13℃以上。寒い冬でも暖房の効いた室内では、繁殖と寄生を繰り返すことができるので一年中対策が必要。また、他のペットや人に寄生する恐れがあるため、室内でノミを発見したら徹底的な掃除が必須。
マダニ
人間や動物を吸血し繁殖していく寄生虫。
吸血による貧血や皮膚炎、ダニ麻痺症を引き起こすだけでなく、多くの病原体を媒介する。犬だけでなく人への感染症も引き起こす可能性があり、命にかかわる危険性も。
<主なダニ媒介感染症>
・犬バベシア症
□ライム病
□日本紅斑熱
□ダニ媒介性脳炎
□SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
※□は人に感染する可能性がある病気
※SFTSは2011年に中国の研究者らによって発表された新しいウイルスで、人の死亡事例が日本で初めて報告されたのは2013年。現時点では有効な薬剤やワクチンがなく、致死率は6.3~30%。
マダニは春から秋にかけて活動が盛んになり、この時期は咬まれる危険性が高まるため注意が必要。
吸血を始めると皮膚から取り除くことは困難で、無理に素手で取ろうとするとマダニの口器が皮膚の中に残り化膿することがあるので、動物病院で駆除してもらう必要がある。
犬をフィラリア・ノミ・マダニから守るために、定期的に予防することが重要です。
次回は予防法や予防薬についてお話します。
<参考資料>
厚生労働省:ダニ媒介感染症
国立感染症研究所:人畜共通感染症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
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